歯科矯正の目的

歯科矯正について
歯並びや噛み合わせは、歯、あごの基礎となるものです。ブラッシングを頑張っても歯並びが悪いと汚れが付きやすく、磨き残しも増えます。
噛み合わせが悪いと食事やスポーツなどで食いしばったときに歯やあごに負担がかかり徐々に悪くなってしまいます。
正しい歯並びにすることで歯、あご、全身、ひいては心の健康を獲得できるようになるのです。

しっかり噛めるようにしよう「咀嚼能力の回復」
口の働きの中で大切なことの一つに、食べ物をかみ砕き消化する第一段階としての役割があります。噛み合わせが悪いため歯が少ししか噛み合っていなかったり、上下の歯がずれていることで物をかみ砕く能力はいちじるしく低下します。また八重歯のように全く噛むことに参加していない歯などは何の目的で口の中に生えているのでしょうか?物を噛むことのできない歯とは何なのでしょうか?
噛む能力を向上させることで人の健康維持の手助けになるでしょう。高齢化の進む中、正しい噛み合わせを維持することで、質の高い生活を送ることができるようになるでしょう。

発音をよくしよう「構音障害の回復」
歯がたくさん抜けてしまった人と会話をすると、その聞き取りにくさに驚くことがあります。歯は声を出すことと密接に関わっているのです。中学生の頃の英語の授業を思い出してください。"th"の発音で上下の前歯の間に舌をはさんで発音するように教えられたことを皆さん憶えていると思います。日本人の方なら日本語が母国語ですから発音は幼い頃に親などの声を聞いて耳から自然に音を憶えて発音できるようになります。
日本語にも「ラ行」、「タ行」など発音する時に歯が密接に関わる音があります。「らりるれろ」と発音してみると舌が上の前歯の裏にふれていることが解ると思います。もしも上の前歯が乱杭だとしたら、この様な音はとても聞き取りにくくなります。また開咬と言って前歯がしっかりかみ合わないような人は舌っ足らずのような独特の発音をすることがあります。

歯、アゴに関連する病気の予防
歯並びが悪く八重歯のような乱杭状態であると歯が密集しておりそのためにブラッシングが難しくなることはすぐに解ると思います。
また出っ歯『上顎前突』などで唇を閉じることが困難で、鼻ではなく口で呼吸をしてしまう人はどうしても口の中が乾き気味で歯垢などが歯に付着しやすくなり、唾液による口の中を綺麗にする能力『自浄作用』も低下します。この様な理由から虫歯になりやすくなってしまいます。
また歯垢などの汚れがお口の中にたまることで、口臭の原因にもなります。
虫歯の場合と同様にブラッシングが困難になることで、歯周病になりやすくなることは明白です。また上下の歯が異常な向き合わせで噛み合うことで歯の根にとても強い力がかかってしまいます。
『外傷性咬合』この様な状態は歯周病になりやすいことが分かっています。歯並びが悪いことは虫歯や歯周病になりやすく、またこれらの病気の進行を早めてしまうことは明白です。
また、悪い歯並びは、もっと大元のあごの関節に負担がかかり顎関節症となる場合もあります。

アゴをしっかり育てよう
小学校低学年での悪い噛み合わせは、アゴが成長する妨げとなる場合があります。これぐらいの年齢ではまだ体の成長は大人の半分です。このときに悪い歯並びで正しくアゴが成長できないような状態を放置しているとアゴはねじれたり、成長しすぎたりします。例えば生え替わった前歯の前後関係が逆で下の前歯が上の前歯よりも前に出ているような場合は、前歯がちょうど靴べらのような効果で下のアゴをより強く成長させてしまいその結果うけ口になってしまいます。
矯正歯科は歯並びを治す治療だと思われがちですが、アゴの成長発育が正しくなるように誘導したり、その様な環境を整えてあげるのも矯正治療の大切な目的の一つです。

心のための「心理的障害の除去」
矯正歯科治療は、歯の持つ機能『咬むこと、発音など』を改善することが目的であると今までお話ししてきました。
しかし治療に訪れる患者さまの訴えで意外と多いのが「出っ歯が気になる」「歯並びが悪くて人前で笑えない」などの見た目に関することです。歯並びが悪く、人と会話することにコンプレックスを感じてしまう方もいらっしゃいます。ひいてはそれがその人自身を内向的な性格に変えてしまいます。先ほども申し上げましたが、噛み合わせをよくすることが矯正治療本来の目的です。その結果綺麗に並んだ歯が健康美としてあなた自身の心を豊かにするのです。矯正の終わられた患者さまに「人前で素直に笑えるようになりました」とよく言われます。皆さまも一緒に幸せな笑顔をはぐくんでいきましょう。

矯正歯科
矯正治療で「美しい歯並び」と「バランスのよいかみ合わせ」に
矯正歯科の目的は、歯列や顎の骨を整えて「美しい歯並び」と「バランスのよいかみ合わせ」に導くことです。整った歯並びは清潔でさわやかな印象を与えるだけでなく、歯磨きがしやすくなることから、むし歯や歯周病が防げるというメリットがあります。矯正装置にはさまざまな種類があり、目立ちにくいタイプもあります。年齢を問わず始められますので、お子さまだけでなく大人の方もお気軽にご相談ください。

診療費について
矯正歯科治療は公的健康保険適用外の自費(自由)診療です。

治療期間
一般的な治療期間2~3年間、通院
期間24~36回

矯正歯科治療の一般的なリスクと副作用
矯正歯科治療に伴う一般的なリスクや副作用について
① 矯正歯科装置を付けた後しばらくは違和感、不快感、痛みなどが生じることがありますが、 一般的には数日間~1、2週間で慣れてきます。
② 歯の動き方には個人差があり、予想された治療期間が延長する可能性があります。
③ 矯正歯科装置の使用状況、顎間ゴムの使用状況、定期的な通院など、矯正歯科治療には患者さんの協力が必要であり、それらが治療結果や治療期間に影響します。
④ 治療中は矯正歯科装置が歯の表面に付いているため食物が溜りやすく、また歯が磨きにくくなるため、むし歯や歯周病が生じるリスクが高まります。したがってハミガキを適切に行い、お口の中を常に清潔に保ち、さらに、かかりつけ歯科医に定期的に受診することが大切です。 また、歯が動くと隠れていたむし歯があることが判明することもあります。
⑤ 歯を動かすことにより歯根が吸収して短くなることや歯肉がやせて下がることがあります。
⑥ ごくまれに歯が骨と癒着していて歯が動かないことがあります。
⑦ ごくまれに歯を動かすことで神経が障害を受けて壊死することがあります。
⑧ 矯正歯科装置などにより金属等のアレルギー症状が出ることがあります。
⑨ 治療中に顎関節の痛み、音が鳴る、口が開けにくいなどの症状が生じることがあります。
⑩ 治療の経過によっては当初予定していた治療計画を変更する可能性があります。
⑪ 歯の形の修正や咬み合わせの微調整を行う可能性があります。
⑫ 矯正歯科装置を誤飲する可能性があります。
⑬ 矯正歯科装置を外す際にエナメル質に微小な亀裂が入る可能性や、かぶせ物(補綴物)の一部が破損する可能性があります。
⑭ 動的治療が終了し装置が外れた後に現在の咬み合わせに合った状態のかぶせ物(補綴物)やむし歯の治療(修復物)などをやりなおす必要性が生じる可能性があります。
⑮ 動的治療が終了し装置が外れた後に保定装置を指示通り使用しないと、歯並びや、咬み合せの「後戻り」が生じる可能性があります。
⑯ あごの成長発育により咬み合せや歯並びが変化する可能性があります。
⑰ 治療後に親知らずの影響で歯並びや咬み合せに変化が生じる可能性があります。また、加齢や歯周病などにより歯並びや咬み合せが変化することがあります。
⑱ 矯正歯科治療は一度始めると元の状態に戻すことは難しくなります。