矯正治療の種類

矯正装置の種類について

可撤式(かてつしき)固定式

「患者様自身が取り外せるタイプの装置」、「歯やあごに止められて自分では外すことのできないタイプの装置」の2種類に分けられます。

顎整形歯牙移動

上あごや下あごの成長や形態をコントロールするための装置と歯を動かすための装置です。
治療の期間は一般的に2~3年間ほどです。通院回数はおおよそ月1ペースで24~36回ほどです。

子供と大人の矯正の違い

矯正治療を行うにあたって、子供と大人では治療方法、使用する装置、治療の流れがまったく異なります。

子供は成長があるが、大人は成長がない

受け口や、出っ歯などあごの骨が原因の場合子供であればあごの骨の成長をコントロールすることで改善することが可能です。しかし、成長の終わってしまった大人(16歳頃に成長は殆ど終了します。)の場合、あごの位置や形に問題がある場合は基本的に手術によってでしか改善することはできません。

永久歯が生えそろっているかいないか

乳歯から永久歯への生え替わりは小学生の頃に行われます。12歳頃に親知らずを除く永久歯が顔を出し、乳歯が全て抜け落ちます。したがって、いくら早期治療を望まれても永久歯が生えそろうまでは咬み合わせを完成させることはできません。
以上のことから、成長が残っている患者様の治療は2段階に分けて行うのが一般的です。
小さい頃から行った方がよいのかは判断が難しく、また、治療期間が長くなってしまうことを考えると始めるタイミングも大事です。

成人向けの矯正の種類

インビザライン・アライナー

インビザライン・アライナー

インビザライン・アライナーは透明で目立たない装置のため、装着していることがわからず、見た目にストレスを感じさせません。
また、取り外しが可能なため、いつでも歯のお手入れができ、口腔内を健康な状態に保つことができます。
3次元シミュレーションソフトを通じて、治療開始から完了に至るまでの歯の移動を、コンピューター画面上で画像および動画として確認することができます。金属製のワイヤーやブラケットを使用しないため、治療期間中に装置が脱落するなどの緊急性を要することがなく、金属アレルギーの心配もありません。

リンガルブラケット

リンガルブラケット

表側ではなく裏側(べろ側)に装置をつける矯正方法です。ほとんど目立たず、普段から下の歯がほとんど見えない方は上だけ裏側というのをおすすめします。
表側に付ける矯正装置と比べると、歯磨きがしづらい、会話や食事の際に違和感が強い、費用が高い、期間が長いなどが挙げられます。
当院ではインダイレクトボンディングによりブラケットを接着してますので、治療期間の短縮しつつ、精度の良い仕上がりが期待できます。
どなたでも適応とは限りませんのでまずは検査を行います。

ブラケットを使った矯正

ブラケットを使った矯正

一本一本の歯にコントロールするための装置『ブラケット』を接着剤で固定し、それにワイヤーを固定することでワイヤーのたわむ力、ゴム、バネなど様々な付加装置で歯を一本一本動かして正常な咬み合わせに仕上げていきます。取り外すことはできない装置です。ブラケットには金属と目立たない透明の物があります。金属の方が治療上有利ですが、透明の物でも仕上がりは変わりません。

クリアスナップ

クリアスナップ

クリアスナップと呼ばれる、オプションのワイヤーとブラケットを固定する特殊なカーバで装置を目立たなくできます。
また、装置の摩擦が軽減されるために治療期間を短縮することが可能です。

子供向けの矯正の種類

チンキャップ

チンキャップ

下あごの成長を抑えるための装置です。基本的に夜間寝ている時に装着します。使う時間は8~12時間です。自分で取り外ししなければならないのでさぼってしまうと治療が進みません。

ヘッドギアー

ヘッドギアー

上あごの成長を抑えたり上の奥歯を固定するために使います。おうちにいる時に使いましょう。目標は12時間です。長く使えば使うほど効果の出る装置です。自分で取り外ししなければならないのでさぼってしまうと治療が進まなかったり、奥歯が前に動いてきてしまいます。

床矯正装置

床矯正装置

入れ歯のような形をしており、様々な用途に応じて形や仕組みが異なります。自分で取り外ししなければならないのでさぼってしまうと治療が進みません。

エキスパンション

エキスパンション

あごを拡大するための装置です。タイプによってはねじが組み込まれており患者様自身にねじを廻してもらう必要もあります。取り外しのできるタイプとできないタイプがあります。

フェイシャルマスク

フェイシャルマスク

上あごの成長をうながすための装置です。おうちの中で使いましょう。目標は12時間です。自分で取り外ししなければならないのでさぼってしまうと治療が進みません。

リンガルアーチ

リンガルアーチ

日本語で舌側弧線といいあごの裏側に太い針金が沿うような形になります。歯を動かす、あごの拡大、歯の固定、保定など様々な目的で使用します。患者様自身で取り外すことはできません。

2×4

2×4

主に前歯が永久歯にはえ変わったお子様(小学校2年生頃)に用いられる装置です。
奥の6歳臼歯(もしくは第2乳臼歯)と前歯4本に装置をつけてワイヤーを用いて前歯の不正を改善していきます。適応症例としては「叢生」「上顎前突」「下顎前突」「正中離開」など様々です。

リテーナー(保定装置)について

歯を動かしたあとに歯を固定しておくためにリテーナーというものが必要になります。取り外しできるタイプではご自分で着脱を管理していただかないと、きれいに並んだ歯が一瞬して戻ってしまいますので頑張りましょう。

治療の流れと精密検査について

診療の流れ

STEP01

初診相談

矯正歯科治療に関するお話しをします。

STEP02

精密検査

レントゲン、歯型、写真など必要な資料を採ります。

STEP03

コンサルテーション

精密検査の結果を元に患者様の問題点や治療方針、矯正装置、治療期間、治療費をお話しします。

STEP04

装置装着・動的処治

矯正治療を開始し、歯やあごを動かします。

STEP05

装置撤去

装置や治療法によりますが、一定期間後に装置を外します。

STEP06

保定

動かした歯をその場にとどめるために装置を装着します。
歯のためのギブスのようなものです。

精密検査の流れ

STEP01

問診

主訴、発育状況、遺伝的要素、歯並びに関する癖などを伺います。

STEP02

写真撮影

口の中、顔や必要に応じてその他の写真を撮ります。

STEP03

印象採得

上下の歯型を採ります。

STEP04

レントゲン撮影

横顔のレントゲン、あご全体のレントゲン、歯のレントゲンなどを撮ります。

STEP05

その他

成長発育分析、必要に応じてその他の検査も行います。

矯正歯科治療のリスクと副作用

  • 矯正歯科装置を付けた後しばらくは違和感、不快感、痛みなどが生じることがありますが、一般的には数日間~1、2週間で慣れてきます。
  • 歯の動き方には個人差があり、予想された治療期間が延長する可能性があります。
  • 矯正歯科装置の使用状況、顎間ゴムの使用状況、定期的な通院など、矯正歯科治療には患者様の協力が必要であり、それらが治療結果や治療期間に影響します。
  • 治療中は矯正歯科装置が歯の表面に付いているため食物が溜りやすく、また歯が磨きにくくなるため、むし歯や歯周病が生じるリスクが高まります。したがってハミガキをしっかりと行い、お口の中を常に清潔に保ち、さらに、かかりつけの歯科医師に定期的に受診することが大切です。また、歯が動くと隠れていたむし歯があることが判明することもあります。
  • 歯を動かすことにより歯根が吸収して短くなることや歯肉がやせて下がることがあります。
  • ごくまれに歯が骨と癒着していて歯が動かないことがあります。
  • ごくまれに歯を動かすことで神経が障害を受けて壊死することがあります。
  • 矯正歯科装置などにより金属などのアレルギー症状が出ることがあります。
  • 治療中に顎関節の痛み、音が鳴る、口が開けにくいなどの症状が生じることがあります。
  • 治療の経過によっては当初予定していた治療計画を変更する可能性があります。
  • 歯の形の修正や咬み合わせの微調整を行う可能性があります。
  • 矯正歯科装置を誤飲する可能性があります。
  • 矯正歯科装置を外す際にエナメル質に微小な亀裂が入る可能性や、かぶせ物(補綴物)の一部が破損する可能性があります。
  • 動的治療が終了し装置が外れた後に現在の咬み合わせに合った状態のかぶせ物(補綴物)やむし歯の治療(修復物)などをやりなおす必要性が生じる可能性があります。
  • 動的治療が終了し装置が外れた後に保定装置を指示通り使用しないと、歯並びや、咬み合せの「後戻り」が生じる可能性があります。
  • あごの成長発育により咬み合せや歯並びが変化する可能性があります。
  • 治療後に親知らずの影響で歯並びや咬み合せに変化が生じる可能性があります。また、加齢や歯周病などにより歯並びや咬み合せが変化することがあります。
  • 矯正歯科治療は一度始めると元の状態に戻すことは難しくなります。